お寺の手帖

「お寺の手帖」は暮らしの中で役に立つお寺の知識や、宗派や尊像など、
みなさまが興味をもたれるお話を当寺副住職がわかりやすく語ります。

今月の聖語 令和7年6月

2025年7月1日(火)

梅子のすき聲をきけば口に唾たまりうるをう

日蓮聖人ご遺文『法華題目鈔』/
文永3年(1266)45歳

解説 =信じられない!=

皆さんの素朴な疑問です。「口で水、水といくら言っても、実際に飲んでみなければ喉の渇きを癒やせないですよね? それと同じことで、ただ南無妙法蓮華経とお題目だけを唱えても、その内容を理解していなければ、意味がないのではないですか?」。
日蓮聖人は驚くべき答えを仰られます。「それでは梅干し、梅干しと言って下さい。ほら、口の中に唾液が出てきて潤ったでしょ?」。一般世間のことでもこの不思議。ましてやお題目の力はもっと凄いのです。
実は私たちは、梅干しを食べた経験があるからこそ脳がすっぱいと認識するのです。人間は例外なく、心に仏界という機根を具えています。南無妙法蓮華経と唱えてみて下さい。あなたの心に種が植えられ、それを大切に育てると芽が出てきます。
すると、心が優しくなっていきますよ。

◎日蓮聖人ご遺文『法華題目鈔』

今の世に生きる私たちに日蓮聖人は、仏教の内容を理解していなくても、お題目を信じる力があれば仏智が育つと言われます。お釈迦さまの教えの肝心要が南無妙法蓮華経なのです。
文永3年(1266)45歳