お寺の手帖

「お寺の手帖」は暮らしの中で役に立つお寺の知識や、宗派や尊像など、
みなさまが興味をもたれるお話を当寺副住職の浅井将玄上人がわかりやすく語ります。

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今月の聖語 令和5年2月

2023年3月1日(水)

この生を空しうすることなかれ

『守護国家論』/
正元元年(1259)聖寿38歳

解説   =誰かのために=
みんなそれぞれの立場で懸命に生きてます。健康な人であれ、病気の人であれ、本当にそう思います。善をなして悪をなさない人はなおさらです。仕事や家事、育児、介護、勉強、鍛錬…。すべて誰かのためになろうとする善です。
反対に悪とは故意に誰かに迷惑をかけること、また人や生き物などの心身を傷つけることです。それは自分の「生」の価値を下げます。そんなことをしなくても個々に価値は十分にあります。気づかないだけで一生懸命生きている別の側面が必ずあるからです。それがわかれば世の中はどんどん良くなっていくでしょう。
時には自分の存在を空しく思うこともあるでしょう。これを書いている私も同じです。でもやっぱり明日も生きていかなくてはなりません。誰も傷つけず、逆に誰かを助けながら、ともに生きていきましょう。

日蓮聖人ご遺文
『守護国家論』
日本が法華経と縁の深い国であることや、この世の中こそが浄土であると解き明かします。この現実社会、すなわち私たちの今生きている世界に価値があることを示したのです。
正元元年(1259)聖寿38歳

春の知らせ 〜啓蟄のお話〜

2022年3月5日(土)

本日は啓蟄(けいちつ)です。

啓蟄とは春の暖かさを感じて、冬籠りしていた虫が外に這い出てくるころのことをいいます、

「啓」には「ひらく、開放する、(夜が)明ける」などの意味がありまして、

「蟄」には「冬ごもりのために虫が土の下に隠れる、とじこもる」という意味があります。

もともとは、太陰太陽暦で用いられていた二十四節気の一つです。陰暦では、毎年の日数が違い、暦と季節がずれているので調整するために工夫されたものが二十四節気とされています。

春彼岸法要の日でもある、春分の日(太陽が真東から昇り真西に沈み、昼夜の長さがほぼ同じになる日)を起点として、太陽が1年間に動く黄道上の動きを15度ごとに24等分し、季節を示す基準としています。

二十四節気では、全体を春夏秋冬の四つの季節に区分し、さらにそれを三つの月に分けております。

一つの月には、二つの等分を割り当て、前半の等分を「節気」、後半の等分を「中気」とし、それぞれの等分点を太陽が通過するときの時候を表わす名称を「正月節立春」「正月中雨水」「二月節啓蟄」「二月中春分」「三月節清明」「三月中穀雨」としております。細かな事は各自お調べ下さいませ。

このうち、黄経345度、陰暦の2月前半を表す「二月節啓蟄」が、「啓蟄」の由来とされております。現在の太陽暦の3月6日ごろに当たります。毎年日付が変わりますので、この頃と覚えて頂いて間違いはないと思います。

…と、お勉強の時間はこのくらいにして、お寺の枝垂れ梅が見頃を迎えております。

毎年とても美しく咲き誇ってくれており、お寺のシンボル的な存在です。

河津桜もちらほら開花し始めております。

どうぞ、感染対策をバッチリして頂き、お花見にお越し頂けたら幸いです。

今日は啓蟄のお話でした。