お寺の手帖

「お寺の手帖」は暮らしの中で役に立つお寺の知識や、宗派や尊像など、
みなさまが興味をもたれるお話を当寺副住職がわかりやすく語ります。
今月の聖語 令和7年4月
2025年5月1日(木)
天高けれども孝よりも高からず
『開目抄』/
文永9年(1272)51歳
解説 =あなたの両親は健在ですか?=
親孝行したい時分に親はなし。この諺は、親がまだ生きているうちに親孝行をするべきだという教訓です。私たちは、どうしても孝行を先延ばしにしがちですが、日頃から親への感謝を忘れず、親孝行を積み重ねることが大切と教えています。
本来、僧侶は両親のもとを離れて出家するものなので、親不孝な行為かもしれません。
しかし仏さまの教えは、もっと内容が深く、「孝」よりもさらに高いものが「恩」だというのです。自分だけが救われるのではなく、他人をも救うことが大切だと言われるのです。人間は自分を導いてくれた先生や仏さまの恩、国や自然にまでもに感謝しながら日々生きていくことが大切だと説いているのです。
そして私たちは親がいなくなっても年忌法要という形で親孝行を続けることができるのです。
◎日蓮聖人ご遺文『開目抄』
日蓮聖人の代表作。儒教や仏教以外の書物も拝読され、法華経が第一であるとの結論が示されます。そして「仏弟子は必ず恩を知って、その恩に報いなければならない」と言われるのです。
文永9年(1272)51歳
