お寺の手帖

「お寺の手帖」は暮らしの中で役に立つお寺の知識や、宗派や尊像など、
みなさまが興味をもたれるお話を当寺住職がわかりやすく説明します。

今月の聖語 令和6年1月

2024年2月1日(木)

利根と通力とにはよるべからず

『唱法華題目鈔』/
文応元年(1260)39歳

解説  =真贋を見極める=
世の中には利根といって生まれながらに頭脳明晰な人や目に見えないものを感じたりする人など、不思議な力(神通力)を持っている人がいるそうです。
仏教には三明六通といって、過去・現在・未来を見通す力や煩悩を断つことができるなどの6つの超能力が説かれています。
そこで気を付けておきたいことがあります。人間は困っている時や心身ともに疲れ果て苦しんでいる時に、藁をもすがる気持ちでこういう力だけに飛びついてしまいがちです。でも不思議な力に飛びつく前に少し冷静になって、それがまがい物でないかを見極めましょう。
その判断基準の1つとして、きちんと物事の因縁(原因と結果)をわきまえているか、個人のためではなく人びとの幸せ、世の中の平和に通じているかを考えてみましょう。

◎日蓮聖人ご遺文『唱法華題目鈔』
物事の善悪をきちんと判断できる基準を持ち、日々を安穏に過ごすにはどうしたらよいかが説かれています。
文応元年(1260)39歳