お寺の手帖

「お寺の手帖」は暮らしの中で役に立つお寺の知識や、宗派や尊像など、
みなさまが興味をもたれるお話を当寺副住職がわかりやすく語ります。

今月の聖語 令和5年5月

2023年6月1日(木)

八のかぜにをかされぬを賢人と申すなり

日蓮聖人御遺文『四条金吾殿御返事』
建治3年(1277)聖寿56歳

解説 =しなやかな心で=
褒められれば有頂天になり、文句をいわれれば怒り、時にはへこんだり…。何かとストレスがたまる現代社会です。
私たちの身の回りには8つの風が吹いているといわれています。喜んだり、しょげたり、傷付けられたり、感謝されたり、尊敬されたり、陰口をたたかれたり、辛くなったり、楽しくなったり…。良い風の日も嫌な風が吹く日もあるのが人生です。
生きていればいろいろなことがありますが、それを乗り越えていくのは、何事にも動じない頑強な心ばかりではありません。どうしようもない悩みや苦しみは1人で抱えず、お寺や公的機関、周りの人に相談してみるのも方法です。
木の枝は頑強なほど折れやすいのです。どんな風とも仲良くできる枝垂れ桜のように、柳のように、しなやかにしなやかに生きていきましょう。

◎日蓮聖人ご遺文
『四条金吾殿御返事』
思い通りにいかないとき、人としてどんな心構えで暮らしていけばいいかを伝えています。人を怨まず穏かな心を保つことが大切だと諭されながら、事態の好転を祈られています。
建治3年(1277)聖寿56歳