お寺の手帖
「お寺の手帖」は暮らしの中で役に立つお寺の知識や、宗派や尊像など、
みなさまが興味をもたれるお話を当寺副住職がわかりやすく語ります。
今月の聖語 令和6年9月
2024年10月1日(火)
十界互具これを説く
『如来滅後五五百歳始観心本尊抄』/
文永10年(1273)聖寿52歳
解説 =優しい心=
罪を犯した人の立ち直りに寄り添い、犯罪や非行のない社会を作ろうという「社会を明るくする運動」があります。どんな人でも「優しい心」を持っていることを信じているからこそできる運動です。
十界とは、私たちの心のありようです。みんなの幸せを願う「優しい心」から、自分だけの利益しか考えず他人を傷つける「地獄の心」までの10段階の「心」のことです。それぞれの心が単独であるのではなく、互いが互いを兼ね備え、影響し合っています。人の「地獄の心」は人の「優しい心」に変われますし、「優しい心」が逆に「地獄の心」になってしまうこともあります。
苦しみや争いの絶えない社会の中で人と人がお互いに理解し合い、誰もが「優しい心」で生きていくことができれば、安穏で平和な世の中になるのです。
◎日蓮聖人ご遺文『如来滅後五五百歳始観心本尊抄』
信徒の富木常忍に宛てて届けられた書で、佐渡で著されました。すべての人が本当の幸せを得られるという「一念三千」「十界互具」という教えが説き表された最も重要な書です。
文永10年(1273)聖寿52歳