お寺の手帖

「お寺の手帖」は暮らしの中で役に立つお寺の知識や、宗派や尊像など、
みなさまが興味をもたれるお話を当寺副住職がわかりやすく語ります。

七面天女

2019年2月1日(金)

『七面天女』は、江戸時代より盛圓寺に祀られる守護神の一体で、以前は七面堂と言われる御堂まで建てられて信仰されておりました。

今では御堂は一つに纏められ、本堂内にお祀りされております。


日蓮聖人が晩年を過ごされた身延山で法華経をお読みになっているときのことです。そこに、ひときわ熱心に耳を傾けている見慣れぬ妙齢の女性がいたのです。
お弟子さんや信者の方々が不思議に思う中、日蓮聖人が何者かと尋ねました。すると、その女性は、身延山の一つである七面山の池に住む龍であり、かつて法華経の行者を守護する誓いを立てた天女であったことを告げたのです。 そこで、聖人は側にあった花瓶に女性の姿を映しました。すると、みるみる姿が変わり、彼女は赤い龍となったのです。
ありがたいお経によって功徳を得ることができた彼女は、身延山や日蓮聖人とその信者の守護を誓って、静かに池へ帰っていきました。こうして、美しい龍は身延山の守護神として崇められるようになったそうです。

七面天女のルーツについては、さまざまな説が伝えられています。
弁財天や吉祥天という説もあれば、また、法華経に登場する8歳の龍女であるという説もあります。いずれにしても、その高貴な美しさは、同時に悪しき者を祓う毅然とした力強さと重なってみえます。

また、七面山は現在でも信仰のお山として今でも信者様から親しまれ、江戸時代に数ある信仰のお山の中では珍しく女人禁制では無いお山として知られています。

その先駆者となった方は養珠院様と言われる方で、お名前が万であったため、お万の方と言われる徳川家康の側室であられたお方です。