お寺の手帖
「お寺の手帖」は暮らしの中で役に立つお寺の知識や、宗派や尊像など、
みなさまが興味をもたれるお話を当寺副住職がわかりやすく語ります。
今月の聖語 令和6年4月
2024年5月1日(水)
人身は持がたし、艸の上の露
『崇峻天皇御書』/
建治2年(1277)聖寿56歳
解説 =心が肝心=
ハダカデバネズミは老化現象が見られない、不思議な生き物です。これこそ多くの人が望む「不老長寿」!?…かと思いますが、老化しないだけで、やがて寿命やケガで死んでしまいます。彼らの身も、私たちと同じで「草の上の朝露のように持ちがたし」なのです。
私たちは健康管理に努め、検査や人間ドックなどに通「いのち」を長らえようとします。でも肝心なのは、「人身(身体)」とその使い方を左右する「心のあり方」がセットであるということです。憎しみ奪い合うか、それとも敬い譲り合うかで、世の中はまったく違ってきてしまいます。でもわかっていても自分だけの利益を考えてしまう。やられたら仕返しをする。心のあり方次第で、ささいなことが大きな争いになったりもします。まず自分自身が敬う心を持った人身を目指しましょう。
◎日蓮聖人ご遺文『崇峻天皇御書』
法華経・日蓮聖人の教えを熱心に信仰する四条金吾に宛てたお手紙。人間社会の中で、組織の中で、どのような心構えで行動したらよいかを崇峻天皇の故事をあげ、細やかに指南します。
建治2年(1277)聖寿56歳