お寺の手帖

「お寺の手帖」は暮らしの中で役に立つお寺の知識や、宗派や尊像など、
みなさまが興味をもたれるお話を当寺副住職がわかりやすく語ります。
今月の聖語 令和2年11月
2020年12月1日(火)
おとこのしわざは
女のちからなり
日蓮聖人御遺文「富木尼御前御書」
解説〜夫婦円満の秘訣〜
こんな句があります。夫が「お前みたいなおたふくババを、俺でありゃこそ置いてやる」と言うと、妻はすかさず「私なりゃこそ辛抱もするが、誰がみるぞや痩せ世帯」。
よくご説教で引かれる道歌です。しかし、この句はこう続きます。
「外で俺が働けるのも、家を貴女が守りゃこそ。私みたいなふつつか者を、貴方なりゃこそ大切に。こそと威張ってこちらにつけりゃ、何とこしゃくと喧嘩ごし。こそと崇めて向こうにつけりゃ、ニッコリ笑ってあなたこそ。喧嘩するのも仲良くするのも、こその付けどこただ1つ」
今月22日はいい夫婦の日です。共に見つめ直して下さい。
日蓮聖人ご遺文「富木尼御前御書」
身延山から富木常忍氏の妻に与えられたお手紙です。
常忍氏が亡き母の遺骨を身延に納骨した折に託されました。妻が生前母によく仕えてくれたと深く感謝する夫の思いを受けて描かれました。
女性が軽視される時代にあって聖人は常に女性の力の偉大さを称賛されています。
建治2年(1276) 聖寿55歳