お寺の手帖

「お寺の手帖」は暮らしの中で役に立つお寺の知識や、宗派や尊像など、
みなさまが興味をもたれるお話を当寺副住職がわかりやすく語ります。
花まつり
2021年4月8日(木)
皆様クリスマスはご存知ですか?そうです。キリスト様のお誕生日ですね。
花まつりはご存知ですか? そうです。お釈迦様のお誕生日ですね。
とは、ならないのが現状です…。あまり皆様に認知されてないのが花まつりです。仏教徒の方がはるかに多いのに知られていないのは、どれ程日本人が宗派の垣根を超えてイベント好きかがよく見られますね。
悪く言えば、統一性がないと申しましょうか、なんというか… そういう事はさておき、4月8日はお釈迦様の誕生日です。
各寺院では、誕生仏と言われる生まれたばかりのお釈迦様の御像を飾り、花御堂(はなみどう)と言われる小さな御堂の中に先述の御像を安置して、お花を飾り、甘茶をかけて供養することで子供たちの平和と健康を祈る行事です。
花まつりは別名、灌仏会(かんぶつえ)ともいい、歴史は平安時代まで遡ります。花まつりという名称を使い始めたのは浄土宗さんとも、言われております。
お釈迦様はルンビニ園という花畑で生まれた事から、お花を沢山飾ります。
お釈迦様誕生日のエピソードはたくさんあり、お母様の摩耶夫人がご懐妊される際には6本の牙のある白い像が体内に入っていく夢を見たり、出産の際は脇から生まれたとか、生まれてすぐ7歩歩いたとか…
現実離れした事ばかりですが、お釈迦様まで偉大な方になると、流石にかなりの逸話が残ってますね。
生まれて東西南北に7歩歩いたエピソードはとても有名で、この7歩ずつ歩まれたとは、6より1多い「7」に意味があります。私たちの生命は「六道」という迷いの世界を輪廻している、と教えられています。
「六道」とは
○地獄界──苦しみの続く世界
○餓鬼界──食べ物も飲み物も全て炎となり、飢えと渇きで苦しむ世界
○畜生界──犬や猫などの動物の世界。
○修羅界──絶えない争いのために苦しむ闘争の世界
○人間界──我々の生きている迷いの世界
○天上界──六道の中では楽しみの多い世界だが、悲しみもあり寿命もある世界
7歩歩まれたとは、この6つの世界から1歩出て離れることを表し、迷いの世界から抜け出した、解脱された事を示されたのです。これが「7歩」の意味です。
また、一つ有名なものはなんといっても、「天上天下 唯我独尊」です。
この言葉を見ると暴走族なんかを思い出しますが、あの人達は恐らく勘違いして認識してらっしゃるのかなと思います。
一般に「ただ自分だけが偉い」という意味だと思われていますが、実はそうではありません。
お釈迦さまは、
「我々人間の命に差別はなく、皆平等に尊い」という意味で
「天井天下 唯我独尊」と仰ったのです。
「実るほど 頭の下がる 稲穂かな」と言われますが
本当に偉い人はふんぞり返って「俺は偉いんだ」などと言わずに腰が低く謙虚なものです。
これは「唯我独尊」の「我」をどう理解するかで意味が変わってきます。「我」はお釈迦様だけではなく、私たち人間のこと。
実ほど…でありたいものですね。
他にも稚児行列など、子供中心の行事となってます。盛圓寺でも去年から計画しておりましたが、コロナ禍の影響で2年連続で延期となってしまいました。
来年こそはと思ってはおりますが、コロナが収まらないと皆様にも楽しんで頂けませんので、世情とよく相談して計画して参ります。
話が長くなりましたが、4月8日に盛圓寺でも花御堂を飾らせて頂きました。

同じポーズを取るのはなんとお釈迦様と同じ誕生日のうちの金坊です。
今日も一緒にお題目を唱えて、太鼓を打ってくれました。

この時期は境内もお釈迦様の誕生日を祝って色とりどりに綺麗に咲き誇ってくれます。



どうぞ、コロナに注意してお寺までお越しくださり、お花も合わせて楽しんでいただければ幸いです。
今回は花まつりのお話でした。